お墓参りのお話

お墓参りはお正月に

今自分がこうして元気に暮らし、生きていることの本質的な意味を考えると、やはりご先祖様の存在があまりにも大きかったということは間違いありません。そして、そのご先祖様への恩返しともなるのが、現世で元気で頑張ることはもちろんですが、お墓参りをしてお礼のことばを述べることというのも、非常に大切なことであるように感じられます。

 

 しかし、忙しい現代人にとっては、なかなか実家に帰ることも難しく、しかも自分に家族ができてしまったら、そういう機会にはなかなか恵まれないというのも正直なところです。

 

 もちろん、「お盆」というのは、お墓参りの最大のチャンスであることはよくわかりますが、しかし、私の個人的事情で言えば、お盆の時期というのはたまたま仕事が繁忙期に入ってしまうため、お盆に実家に帰ってお墓参りというのは現実的な選択肢としてチョイスすることができないのです。

 

 それでも、どこかでお墓参りはしたいと考えてはいて、そこで私が毎年欠かさず行っているのが、「お正月の帰省」であり、そして「お正月のお墓参り」なのです。

 

 みなさんにとってはおそらく、お正月と言えば「初詣」が真っ先に頭に浮かんでくるものと思いますが、しかしだからと言ってお正月にお墓参りをしてはいけないなどという規則はどこにもありませんから、我が家ではよほどのことがない限り、「お正月のお墓参り」を実行しています。

 

 まあそれは気分的なものだと言われてしまえばそうなのかもしれませんが、1年の初めにご先祖様にお参りできるというのは、精神的にも非常によいことであると思います。

 

初詣とお墓参り

ところが、「お正月にお墓参りをすること」というのは、古来の風習になぞらえれば、まったくおかしなことでもありませんし、そもそもそれほど珍しいケースではないようです。それどころか、その歴史をひもといてみると、実はお正月の「初詣」という風習は「お正月のお墓参り」の風習に比べれば、その歴史はずっと浅いことがわかります。

 

 まあ、我が家の場合には、仕事の忙しさや家族のスケジュールの関係が大きく影響していることは言うまでもありませんし、そんな歴史を重んじているわけではありませんが、しかしやはり、年の初めにご先祖様にお参りするという発想は、実は古くから「ごく自然なこと」としてほんの最近まで踏襲され続けてきたのです。

 

 そして調べてみると、中には「お正月にはお墓参りをするべきではない」とされる俗説もあるようです。その背景には、明治政府による政治的なファクターが大きな理由を占めているため、これは宗教上の理由や、社会の変化による世俗の変化など、そういったこととは一切関係なかったと考えるのが自然であると言えそうです。ですから、新年早々お墓参りをすることには、それほどヘンなこだわりを持って忌み嫌うようなものではありません。

 

 お正月のお墓参りと似た考え方で、その年一念を無事に過ごすことができたという喜びや感謝を伝える意味で、年末にお墓参りをするという習慣も、地方によってはあるようです。年末や年始という区切りに、ご先祖様のことを思い出し、顔を見せるというのは、実は素晴らしいことだと思います。